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宇都宮地方裁判所 昭和61年(わ)473号 判決

本店所在地

栃木県足利市松田町一五八番地

小野商工株式会社

(右代表取締役 小野里俊夫)

本籍並びに住居

栃木県足利市松田町一五八番地

会社役員

小野里俊夫

大正三年五月二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官田内正宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社小野商工株式会社を罰金一四〇〇万円に、被告人小野里俊夫を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人小野里俊夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社小野商工株式会社は、栃木県足利市松田町一五八番地に本店を置き、繊維製品の製織染色加工整理縫製及び販売、飲食店の経営等を営業目的とする資本金三〇〇〇万円の株式会社であり、被告人小野里俊夫は、右被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているのであるが、被告人小野里俊夫は、同被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五七年三月一日から昭和五八年二月二八日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が三九五四万七八六四円であったのにかかわらず、同年四月三〇日、同市大正町八六三番地所在の所轄足利税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八二六万九一八六円でこれに対する法人税額が六六六万九八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告会社の右事業年度における正規の法人税額一五六〇万六六〇〇円と右申告税額との差額八九三万六八〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年三月一日から同五九年二月二九日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が七三六五万四四八四円であったのにかかわらず、同年五月一日、前記足利税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九五三万八七六円で、これに対する法人税額が一一一二万九九〇〇円で、ある旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九六四万二五〇〇円と右申告税額との差額一八五一万二六〇〇円を免れ、

第三  昭和五九年三月一日から同六〇年二月二八日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が八九七〇万六五一〇円であったのにかかわらず、同年四月三〇日、前記足利税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇九三万九九九〇円で、これに対する法人税額が三五〇万二三〇〇である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七五三万一三〇〇円と右申告税額との差額三四〇二万九〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人小野里俊夫の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する各供述調書

3  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、小野里力子、小野里弘基、小野里雅志、山際由岐子、福田カヨ、関口全之、千吉良基久、坂本芳久、山口久雄 成田邦夫及び川原眞澄、大蔵事務官に対する質問てん末書

一、小野里弘基、関口全之、及び清水恵美子の検察官に対する各供述調書

一、被告人小野里俊夫、小野里弘基、株式会社千吉良代表取締千吉良基久、川村株式会社同川村治朗、株式会社ベルシオン同成田邦夫、同アスク同成田邦夫、同東京毛織同川原眞澄及び佐藤株式会社同佐藤剛司各作成の答申書一三通

一、大蔵事務官作成の調査書二六通

一、右同作成の三井銀行新橋支店及び三菱銀行銀座支店調査関係書類二綴り

一、足利税務署長(昭和六〇年九月九日付(検一号)及び昭和六一年三月八日付(検一号)のもの。)、栃木県自動車税事務所長、足利県税事務所長(検一号のもの。)足利市長(検一号のもの。)及び桐生市長各作成の証明書七通

一、登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検一号)

判示第二の事実につき

一、右同作成の脱税額計算書(検二号)

判示第三の事実につき

一、右同作成の作成の脱税額計算書(検三号)

(法令の適用)

被告人らの各所為はいずれも法人税法一五九条一項(被告会社については更に同法一六四条一項)に該当するが、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人小野里俊夫については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金一四〇〇万円に、被告人小野里俊夫については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一〇月にそれぞれ処し、被告人小野里俊夫に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条を適用して被告人らに連帯して負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 榊五十雄)

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